新潟のスマート農業|農業×AI・IoTで人手不足と鳥獣害を乗り越える実践ガイド
新潟のスマート農業・農業×AI
日本有数の米どころである新潟。その農業は、いま大きな転換期を迎えています。担い手の高齢化と人手不足、年々深刻化する鳥獣害——これまで人の経験と労力で支えてきた現場が、限界に近づいているのです。そこで注目されているのが、AIやIoTを活用した「スマート農業」です。この記事では、新潟の農業がスマート農業・農業DXへ踏み出すために、AIで何ができるのか、そして小さく始めるにはどうすればよいのかを、新潟・三条のAI開発企業TIFFINが実践的に解説します。
新潟の農業が抱える課題——高齢化・人手不足・鳥獣害
新潟の農業を支えてきた基盤は、いま三つの大きな課題に直面しています。一つ目は担い手の高齢化です。長年の経験で培われた「勘」や「目利き」は貴重な財産ですが、その技術を次の世代へどう引き継ぐかが、多くの経営体で切実な問題になっています。二つ目は人手不足です。田植えや稲刈り、選別といった作業は短期間に集中し、繁忙期の労働力をどう確保するかが毎年の悩みの種です。採用で解決しようにも、農村部の人口減少が進むなかでは限界があります。
三つ目が鳥獣害です。クマ、イノシシ、サル、ニホンジカ、ハクビシンなどによる農作物への被害は年々拡大し、収穫直前の作物が一晩で荒らされることも少なくありません。被害そのものに加え、見回りや防除にかかる手間・時間も、人手の限られた農家にとって大きな負担になっています。これらの課題は、従来のやり方の延長線上だけでは解決が難しく、AI・IoTという新しい道具で営農を効率化していく発想が求められています。
スマート農業とは——IoT・データ・AIで農業を変える
スマート農業とは、IoT・データ・AIといった技術を使って、農作業の省力化や品質・収量の向上を目指す取り組みのことです。ポイントは大きく三つあります。まず「IoT」は、ほ場の温度・湿度・土壌の水分量などをセンサーで自動的に測り、データとして集める役割を担います。これまで人が見回って肌で感じていた状態を、数値として正確に記録できるようになります。
次に「データ」は、そうして集めた情報を蓄積し、過去と比較したり傾向を読み取ったりするための土台になります。そして「AI」は、大量のデータや画像から人間では気づきにくいパターンを見つけ出し、判断や予測を支援します。つまりスマート農業とは、ベテランの経験に頼っていた部分をデータとAIで補い、誰が担当しても一定の品質で営農を続けられる状態を目指すものだと言えます。新潟の農業DXは、まさにこの考え方を地域の現場に根づかせていくことに他なりません。
画像認識の活用——生育管理・病害虫検知・収量予測・選別
農業×AIのなかでも、いま特に実用性が高いのが画像認識の活用です。スマートフォンやカメラ、ドローンで撮影した作物の画像をAIが解析することで、これまで熟練者の目に頼っていた判断を支援できます。たとえば生育管理では、稲や野菜の葉色や草丈の状態を画像から把握し、生育のばらつきや遅れを早めに見つけることができます。
病害虫の検知も、画像認識が力を発揮する分野です。葉の変色や斑点、虫害の兆候を画像から見分けることで、被害が広がる前に気づき、必要な場所にだけ対処するといった効率的な防除につなげられます。さらに、過去の生育データと組み合わせれば収量予測の精度を高めることもでき、出荷計画や人員配置の見通しが立てやすくなります。収穫後の選別では、大きさや形、傷の有無を画像で自動判定することで、これまで人手と集中力を要した作業の負担を軽くできます。画像認識を農業に取り入れることは、経験を「見える化」し、誰でも一定の精度で判断できる仕組みづくりの第一歩になります。
鳥獣害対策へのAI活用——クマ検知システムAIVISの実例
深刻化する鳥獣害に対しても、AIは有効な手立てになります。カメラ映像をAIがリアルタイムで解析し、動物の姿を捉えた瞬間に検知・通知することで、見回りの負担を減らしながら早期の対応につなげられるのです。TIFFINは実際に、新潟県三条市と取り組んだクマ検知システムAIVISを開発しています。YOLOという物体検出技術をベースに構築し、検証では約95%の精度でクマを検知できることを確認しました。
こうしたAIによる検知の考え方は、クマに限らずイノシシやサル、シカといった農作物を荒らす動物への対策にも応用が利きます。映像から「いつ・どこに」動物が現れたかを記録できれば、出没の傾向を把握し、柵の設置や追い払いといった対策を、勘ではなくデータにもとづいて打てるようになります。鳥獣害対策をAIで効率化することは、収穫を守ると同時に、農家の見回り負担を大きく軽くすることにつながります。
データで営農を見える化する
スマート農業のもう一つの大きな価値は、営農の「見える化」です。これまで頭の中やノートに散らばっていた作業記録、ほ場ごとの状態、収量や品質の結果をデータとして一元的に蓄積していくと、年ごと・ほ場ごとの比較ができるようになります。「あの年はなぜ良かったのか」「この区画だけ収量が落ちる原因は何か」といった問いに、感覚ではなく記録で答えられるようになるのです。
データが蓄積されれば、ベテランの判断の根拠を後進に伝えやすくなり、技術継承の課題にも効いてきます。また、いつ・誰が・どの作業をしたかが見えることで、人手の配分や繁忙期の段取りも組みやすくなります。営農の見える化は派手な技術ではありませんが、人手不足のなかで限られたリソースを上手に使い、営農を効率化していくための、もっとも土台になる部分です。
小さく始める——いきなり全部やらない
スマート農業と聞くと、高価な機械や大がかりなシステムを一度に揃えなければならないと身構えてしまうかもしれません。しかし、最初から完璧を目指す必要はありません。むしろ大切なのは、自分たちが一番困っている課題を一つ選び、そこに小さく取り入れてみることです。鳥獣害が深刻ならカメラとAIによる検知から、選別の負担が大きいなら画像による判定から、というように、効果が実感しやすいところから始めるのが成功の近道です。
スマートフォンで撮った写真を活用する、まずは記録をデータ化してみる——そうした手の届く一歩からでも、農業DXは十分に始められます。小さく試して効果を確かめ、手応えがあれば次へ広げていく。この進め方なら、無理なく、かつ現場に合った形でスマート農業を根づかせていくことができます。
新潟・三条のTIFFINに相談する
TIFFIN株式会社は、新潟県三条市を拠点に、画像認識や業務自動化などのAIシステムを開発している会社です。前述のクマ検知システムAIVISのように、地域の現実の課題に向き合い、実際に動くAIをつくってきました。だからこそ、「自社のこの作業に、AIをどう当てはめればよいか」という一番知りたい部分まで踏み込んでご相談に乗れます。
生育管理や選別、鳥獣害対策など、画像認識を使ったスマート農業に関心がある方は、画像AI・AIサポートのサービスや、クマ検知システムAIVISの事例もあわせてご覧ください。「うちの場合は何から始められるか」を一緒に考えるところからで構いません。まずはお問い合わせから、お気軽にご相談ください。米どころ新潟の農業を、AI・IoTで次の世代へつなぐお手伝いをします。
