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製造業DX業務システム2026.08.27

燕三条の製造業でExcel管理をシステム化する進め方。架装工場の実案件から

工場の事務所でExcelの台帳と現場の記録を突き合わせている様子

燕三条は金属加工をはじめとするものづくりのまちです。私たちTIFFINも燕市と三条市に拠点を置き、キャンピングカーの架装工場や販売会社の業務システムを開発してきました。製造業の現場では、見積はExcel、進捗はホワイトボード、入荷予定は担当者の手元、という状態が珍しくありません。この記事では、当社が実際に手がけた「架装工場の作業時間管理」「営業管理と架装指示書の連携」「車両の入荷・保管管理」という3つの案件を材料に、Excel管理をシステム化するときにどこから着手し、どう広げたかをお話しします。

この記事でわかること

目次
  1. 燕三条の製造現場でよく見るExcel管理の形
  2. 実案件1:架装工場の作業時間を、タブレットで記録する
  3. 実案件2:見積から架装指示書を自動生成し、現場と双方向につなぐ
  4. 実案件3:注文書のスキャンから入荷・駐車位置までをQRでつなぐ
  5. Excelを捨てない。帳票の見た目は残し、中身だけをシステムに
  6. 進め方のまとめ:1業務から始めて、現場で直す

燕三条の製造現場でよく見るExcel管理の形

ご相談で見せていただくExcel管理には、いくつか共通する形があります。見積のファイルが「最終_v3_修正後」といった名前で並び、どれを客先に出したのか追えない。同じ顧客名・型番・金額を、見積・注文書・請求書に何度も打ち直している。月次の売上や台数を、担当者がファイルを開いて手で合計している。工程の進捗はホワイトボードにあり、どのオプションにどれだけ時間がかかったかは、どこにも残っていない。

大事なのは、Excelと紙で回っている業務は「回ってしまっている」だけあって、かなり柔軟にできているという点です。とりあえず全部システムにしようとすると、欄外の手書きや色分けに隠れていたルールが終盤に噴き出して苦しくなります。システム化の価値が出やすいのは、業務の「つなぎ目」で人が転記している場所と、「実績が残っていない」場所です。3つの案件はいずれもそこから着手しました。

実案件1:架装工場の作業時間を、タブレットで記録する

キャンピングカービルダーA社様(新潟県燕市)の架装工場では、架装オプションごとにどれだけ時間がかかっているかの実績が残っておらず、見積の工数が経験と勘に頼っていました。どの車両がどの工程にあるか、工場全体の進捗も把握しづらい状態でした。

ここで開発したのは、作業者がタブレットで「車両・工程・開始/終了」を記録するだけの操作に絞った作業時間管理システムです。入力する人は作業場にいます。項目を増やすほど使われなくなるので、押すものを最小限にしました。記録された時間は、オプション(大分類)ごとに標準時間と実績時間を比較できる形で貯まり、見積用の工数データになります。

あとから、営業管理側の架装指示書と連携して、納車予定月ごとの進捗(作業中→完成→納車済み)を共有できるようにし、駐車場管理の機能もサイドバーに統合して、工場と保管を一画面で確認できるようにしました。オプションごとの実際の工数が数字で見えるようになり、見積の根拠が明確になったこと、工程の詰まりを早く発見できるようになったことが成果です。

この案件のポイント。最初から原価計算のシステムを作ろうとしなかったことです。「開始と終了を押す」だけの入力から始め、貯まった実績を後から見積や納期の精度に使う。順番を逆にしていたら、入力が続かなかったはずです。

実案件2:見積から架装指示書を自動生成し、現場と双方向につなぐ

キャンピングカー販売会社G社様では、見積書・契約書・架装指示書を別々に作成しており、転記ミスと二度手間が発生していました。旧システムに残っている顧客・車両のデータも活かしたい。そして、営業の決定事項が製造現場にタイムリーに伝わらない、という課題もありました。

開発した営業管理システムでは、見積作成から契約書出力までをワンクリックにし、オプションが多い場合は別紙を自動生成します。見積を確定すると同時に架装指示書が自動生成され、Excel出力にも対応しています。旧システムからは顧客約1,600件と車両・商談・整備履歴のデータを移行しました。さらに作業時間管理システムと連携し、指示書を納車予定月付きで製造現場へ共有、作業中→完成→納車済みのステータスを双方向で同期しています。

見積から製造指示までの流れが1本につながり、転記作業がなくなりました。営業と現場が同じ情報を見て動ける体制になったことが、いちばんの変化です。

この案件のポイント。「正」をどこに置くかを最初に決めたことです。正は見積データの1件で、契約書も架装指示書もそこから派生する。そして旧システムのデータ移行を、最初から開発範囲に入れたことです。昔のデータがそっちにないシステムは使われません。

実案件3:注文書のスキャンから入荷・駐車位置までをQRでつなぐ

再びキャンピングカービルダーA社様の案件です。メーカーからの注文書がPDFや紙で届き、入荷予定の把握が担当者の手元に留まっていました。敷地内のどこにどの車両があるか分からず探し回る時間が発生し、入荷が遅れている車両に気づくのも遅れがちでした。

開発した車両管理システムでは、注文書をスキャンするとAIが車種・車台番号・納期を読み取り、入荷予定として自動登録します。入庫時にはQRコード付きのA4ラベルを印刷して車両に貼り、スマホで読むと車両情報と駐車位置が表示されます。駐車場の区画はグリッドで表示し、タップで移動と履歴を記録します。30日・60日を超えて入庫しない車両は自動で洗い出して担当者に通知します。

「あの車どこ?」の探し物がなくなり、入荷遅れも早い段階で把握できるようになりました。このシステムは見積・契約管理と同じ顧客・車両データを共有しているため、販売から製造、保管までの流れがつながっています。

この案件のポイント。入力させない設計です。注文書という既にある情報から自動で取り込み、人は確認だけをする。「入力の手間が増えるならExcelのままでいい」という現場の感覚は正しいので、設計側が歩み寄るべきところです。

Excelを捨てない。帳票の見た目は残し、中身だけをシステムに

システム化イコールExcel全廃、と思われがちですが、3つの案件はいずれもExcelを出口として残しています。架装指示書は、現場が長年使い慣れたExcel様式のまま出力されます。当社では、既存のExcel様式をテンプレートとして読み込み、システムのデータを該当セルに流し込んで出力する方式を標準にしています。取引先や社内の慣習で決まっている帳票の見た目を変えずに、作成の手間だけを減らせます。

もうひとつ、既存のExcel台帳をシステムの初期データとして取り込むことも、ほぼ毎回行います。何百件、何千件の過去データも、形式さえ揃っていれば一括で投入できます。「今までのデータが無駄になるのでは」という心配は不要です。ただし、表記ゆれ・重複・和暦と西暦の混在といった整理には手間がかかり、その分は費用に反映されます。相談の段階で、いまの台帳がどんな状態かを見せていただけると、見積の精度が上がります。

進め方のまとめ:1業務から始めて、現場で直す

3つの案件に共通する進め方をまとめます。開発会社に相談する前に、次の3つをA4一枚で構いませんので書き出してみてください。

そして最初から全業務をカバーしようとせず、いちばん痛い1業務(たいていは二重入力か転記ミスが起きている場所、あるいは実績が残っていない場所)から小さく始めることをおすすめします。当社の開発は、動くものを早く出して現場で使ってもらいながら直していく進め方です。図面を扱う設計・調達・見積の業務については、製造業向けの図面AIのページも用意しています。「うちのこの業務、システムになりますか」という段階のご相談から歓迎します。

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この記事を書いた人:TIFFIN開発チーム

新潟県燕市・三条市の受託開発スタジオ。業務システム、Web・EC、スマホアプリ、電子回路・組込み、AIカメラまで、企画から納品後の運用までワンストップで開発しています。

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