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IoT基板開発2026.08.27 公開/2026.09.19 更新

IoT機器・オリジナル基板の費用と期間。アンテナ・電池・通信方式で何がいくら変わるか

屋外に設置するIoTセンサー機器の基板と防水筐体

「市販品を組み合わせれば何とかなると思ったが、電源が持たない、電波が届かない、屋外に置けない」。オリジナル基板やIoT機器のご相談は、たいていこの段階から始まります。TIFFINは新潟県燕市・三条市で、回路設計からプリント基板、筐体、ファームウェア、クラウドの見守り画面までを同じチームで設計し、田んぼの水位を見守る「みずばん」や果樹園を見張る「はたばん」を自社で実証開発しています。この記事では、1台の試作を依頼するときに費用と期間がどう決まるのかを、工程の順に沿って説明します。

この記事でわかること

目次
  1. 試作1台ができるまでの工程
  2. 費用を左右する要因:電源・通信・防水・認証・量産データ
  3. アンテナと電池(バッテリー)の費用は何で決まるか
  4. 費用の目安(当社の料金ページより)
  5. 期間の考え方:フィールド試験を省くと、後で払う
  6. 依頼前に整理しておく3つのこと
  7. IoT機器の費用でよくいただく質問

試作1台ができるまでの工程

オリジナル機器の開発は、おおまかに「要件の整理→構成の検討→回路設計→基板→筐体→ファームウェア→試作・評価」という順で進みます。ただし、それぞれが一直線に並ぶわけではなく、基板と筐体のように並行して決めなければならないものがあります。当社の進め方を工程ごとに見ていきます。

基板の外形や穴の位置は、筐体とケーブルの取り回しから先に決めます。コネクタ列を防水ボックスのケーブルグランド側に揃える、といった判断は、基板と筐体を別々の会社に頼むと後からすり合わせが必要になる部分です。同じチームで設計する理由はここにあります。

費用を左右する要因:電源・通信・防水・認証・量産データ

同じ「センサ1台」でも、次の要因で費用は大きく動きます。相談の段階で当社が必ず確認する順に説明します。

要因1:電源と通信の構成

IoT機器の設計は、センサ選びより先に「通信方式」でほぼ決まります。通信方式が決まると、電源、筐体、設置方法、月々の通信費が連鎖して決まるからです。費用に効く順に整理します。

通信方式と台数。電源と建物があるならWi-Fiがいちばん安く、部品代の追加も通信費もかかりません。設置場所がバラバラで台数が少ないならLTE(IoT向けのCAT-Mを含む)が簡単ですが、1台ごとに月々のSIM代がかかります。同じ地区に何台も並べるなら、センサ間を920MHz帯のLoRaでつなぎ、LTE回線を1台のゲートウェイに集約する構成が有利です。みずばんはこの構成で、通信費はゲートウェイの1回線分だけにしています。一方、はたばんは検知した画像を送る必要があり台数も少ないため、LTE直結を選びました。送るものが数値か画像か、台数は何台かで、正解は逆になります。

電池で動かすかどうか。コンセントが取れない場所で電池運用を狙う場合、待機電流を桁で削る設計が必要です。測定時だけセンサ電源を入れる、電池電圧監視の分圧回路もFETで切る、といった積み上げで待機電流を数十μA級まで詰めます。省電力は最後に足すものではなく、回路図の最初から入れておく項目です。後から「やはり電池で」となると設計のやり直しになり、費用と期間の両方に響きます。ソーラーパネルと二次電池で常時稼働させる場合は、筐体が大きくなり、支柱や取り付け金具も必要になります。

要因2:筐体・防水と電波法の認証

屋外に置くかどうか。「試作は動いたのに、現場に置いたら止まった」の原因はだいたい決まっています。防水等級を満たしていない、ケーブルの引き込みから水が入る、結露で誤動作する。屋外設置ではIP65相当の防水設計に加え、直射日光・結露・積雪・気温変化を想定した部品選定が必要で、屋内向けの試作とは工数が変わります。筐体と基板を別々に決めるとここで失敗しやすいため、当社は防水ボックス・基板・電池ホルダーを一体で設計し、3Dの分解図で合意形成してから進めます。

電波法の認証(技適)。無線を使う機器は、国内で使うために電波法の認証が必要です。当社は技適取得済みの無線モジュール(LoRaとマイコンの一体型など)を選定し、基板側はアンテナ端子へ50Ωで最短に引き出すだけにする設計を基本にしています。こうすると機器としての認証取得が不要になります。独自のRF回路を組むと、認証と量産の両方でコストが跳ね上がるため、必要な場合は認証にかかる期間と費用を事前にご説明したうえで判断していただきます。

要因3:量産に渡せるデータと、クラウド側まで作るか

量産データを整えるか。回路図しかない状態では、基板メーカーに製造を依頼できません。部品表(BOM)、実装座標(CPL)、製造用ガーバー、外形・穴・配置ガイド入りのKiCadプロジェクト一式がそろって、初めて量産の見積が取れます。当社は、基板メーカーへそのまま発注できる状態にすることを試作段階の完了条件にしており、設計データはお客様に納品します。1台で終わる案件でも、将来ほかの会社に量産を頼む道が残ります。

クラウド・見守り画面まで含めるか。装置が動いてデータが上がってきても、数字が羅列されるだけでは誰も見ません。受信API、時系列データの蓄積、しきい値による状態判定、異常時のLINEやメール通知、機器のオンライン状態や電池残量の監視画面。ここまで作って初めて「使える装置」になります。装置本体だけの依頼か、画面と通知まで含めた依頼かで、範囲と費用は大きく変わります。

アンテナと電池(バッテリー)の費用は何で決まるか

IoT機器の相談で、通信方式の次に必ず出てくるのがアンテナと電池の費用です。どちらも「部品をいくらで買うか」より「どの構成を選ぶか」で総額が動きます。ここだけ切り出して整理します。部品単価は数量と時期で変わるため、桁感としてご覧ください。

アンテナの費用

アンテナは選び方が3通りあり、部品代の差は小さい一方で、設計と測定にかかる工数が大きく変わります。費用差の正体はほとんどが工数です。

選び方部品代の桁感設計・測定の手間向いている場面
基板パターンアンテナ(基板に直接描く)実質0円大きい(基板の形とグラウンドで特性が変わるため、改版で追い込む)量産数が多く、形が固まっている機器
チップアンテナ数十円台中くらい(整合回路と周辺のクリアランス確保が必要)小型の筐体に収めたい機器
外付けアンテナ+同軸コネクタ数百円〜数千円(ケーブル・防水コネクタ込み)小さい(モジュールの端子から50Ωで引き出すだけ)試作、屋外設置、通信距離を稼ぎたい機器

当社は技適取得済みの無線モジュールを使い、基板側はアンテナ端子へ50Ωで最短に引き出す設計を基本にしています。この形なら機器としての認証取得が不要で、アンテナまわりに認証費用が乗りません。逆に独自のRF回路やパターンアンテナで自前設計に踏み込むと、測定と認証の費用が別に必要になります。試作の段階では外付けアンテナで通信距離を実測し、量産の見込みが立ってから内蔵化を検討する、という順番が結局いちばん安く済みます。

電池・バッテリーの費用

電池は「単価」ではなく「交換に行く人件費」で考えると判断を誤りません。1台あたり数百円の電池でも、現場が遠ければ交換1回のコストは電池代を軽く超えます。

電源の構成電池そのものの桁感設計への影響現実的な使いどころ
コイン電池(CR2032など)数十円取り出せる電流が小さく、送信時の瞬間電流に耐える設計が要る送信が1日数回、屋内の小型センサ
乾電池・リチウム一次電池(単3形など)数百円電池ホルダーと筐体の容積が要る。低温特性で選定が変わる屋外の定点観測。交換を年1回に収める設計にしやすい
リチウムイオン二次電池+充電回路千円台〜充電IC・保護回路・輸送規制が増え、基板も筐体も大きくなる頻繁に通信する機器、画像を送る機器
ソーラーパネル+二次電池数千円〜パネル・支柱・取り付け金具が増え、筐体設計の比重が上がる電源が取れない屋外で常時稼働させたい機器

電池で動かす前提なら、待機電流を桁で削る設計が費用の中心になります。測定時だけセンサ電源を入れる、電池電圧監視の分圧回路もFETで切る、といった積み上げで待機電流を数十μA級まで詰めます。これは後から足せるものではなく、回路図の最初から入れておく項目です。「まずACで作って、あとで電池対応に」と進めると設計のやり直しになり、費用と期間の両方に響きます。電池で何年もたせたいかは、最初の打ち合わせで必ず決めてください。

なお、送るデータが数値なのか画像なのかで、消費電力の前提はまったく変わります。当社のみずばん(田んぼの水位)は数値を1日数回送る構成なので電池運用に寄せられますが、はたばん(画像で検知する装置)は画像を送るため電源の考え方が別になります。電子機器・基板開発のページに、構成ごとの実例を載せています。

費用の目安(当社の料金ページより)

当社の料金ページに掲載している、電子機器・基板開発の目安をそのまま引用します。要件によって上下しますので、出発点としてご覧ください。

範囲内容目安(税別・開発費)
試作1台の設計・製作回路設計、基板製作、筐体、ファームウェアを含む試作1式80万円〜
量産を見据えた設計一式試作に加え、BOM・CPLなど量産に渡せるデータの整備まで250万円〜
筐体・外装込みの製品化外装・機構を含めた製品としての仕上げまで500万円〜

基板製造費・部品費・金型費などは別途実費です。初回の相談と構成の検討、概算の提示までは無料でお受けしています。また、回路だけ、ファームウェアだけ、既存基板の改版、他社が作った装置のクラウド側だけを引き継ぐ、といった部分的なご依頼も可能です。全部を一社に頼まなければならないわけではありません。

期間の考え方:フィールド試験を省くと、後で払う

当社のサイトには、ハードウェア開発の期間を一律の数字で書いていません。理由は、期間を決める要素が案件ごとに違うからです。基板は起こしてから実測し、課題があれば改版する、というループがあり、改版の回数で期間が変わります。部品の入手性にも左右されます。そして屋外に置く機器では、フィールド試験を季節や天候をまたいで行う必要があります。夏に動いた装置が冬の結露や積雪で止まる、ということは机上では分かりません。

ここを省くと、量産後に必ず問題が出ます。試作の段階で払うか、量産してから払うかの違いで、後者のほうが高くつきます。ですから期間は「いつまでに現場に置きたいか」から逆算し、屋外設置なら試したい季節を先に決めて、その季節に試作機が現地にある状態を目標にする、という考え方をおすすめしています。まず1台作って現地で確かめてから量産を判断する進め方が、結果的にいちばん近道です。

依頼前に整理しておく3つのこと

相談の段階で教えていただきたいのは、「測りたいもの(見張りたいもの)」「置きたい場所」「予算感」の3つです。図面や仕様書はなくて構いません。この3つがあれば、実現方法の候補と概算をご提案できます。加えて、次の点が分かっていると構成の検討が早く進みます。

当社はまず、既製品の組み合わせで足りるかをご一緒に確認します。足りない場合だけ作ります。「こんな装置、作れませんか」という一言からご相談ください。

IoT機器の費用でよくいただく質問

IoT機器のアンテナの費用はどのくらいかかりますか

アンテナそのものの部品代は、基板に直接描くパターンアンテナなら実質0円、チップアンテナで数十円台、外付けアンテナと同軸コネクタでも数百円〜数千円です。金額を動かすのは部品代ではなく設計と測定の工数で、パターンアンテナを自前で追い込むほど工数が増えます。当社は技適取得済みの無線モジュールを使い、アンテナ端子へ50Ωで最短に引き出す設計を基本にしているため、機器としての認証取得が不要で、アンテナまわりに認証費用が乗りません。

IoT機器のバッテリー(電池)の費用はどのくらいですか

電池そのものは、コイン電池で数十円、単3形などの乾電池・リチウム一次電池で数百円、リチウムイオン二次電池と充電回路で千円台〜、ソーラーパネルを足すと数千円〜が目安です。ただし本当の費用は電池代ではなく、交換に行く手間と、待機電流を削るための設計工数です。現場が遠い場合、交換1回の人件費が電池代を簡単に超えます。

電池だけで何年くらい動かせますか

送信の頻度と送るデータの種類で決まります。数値を1日数回送る構成なら、測定時だけセンサ電源を入れる、電圧監視の分圧回路もFETで切るといった設計で待機電流を数十μA級まで詰め、交換を年1回に収める設計が現実的です。画像を送る装置は消費電力の前提が変わるため、二次電池やソーラー、あるいは商用電源を前提にします。何年もたせたいかは最初の打ち合わせで決めてください。後から電池運用に変えると設計のやり直しになります。

検品・外観検査をカメラで自動化する場合の費用はどう考えますか

撮る仕組み(カメラ・照明・治具)と、判定する仕組み(画像認識)を分けて考えます。費用が動くのは判定アルゴリズムよりも、毎回同じ条件で撮れる状態を作る部分です。照明と位置が安定していれば判定は単純で済み、安定していなければ学習データも作り込みも増えます。当社では画像認識・外観検査を別サービスとして扱っていますので、AI外観検査のページもあわせてご覧ください。

LoRaとLTEでは、どちらが安く済みますか

台数と設置場所で逆転します。同じ地区に何台も並べるなら、センサ間を920MHz帯のLoRaでつなぎLTE回線をゲートウェイ1台に集約する構成が有利で、通信費はゲートウェイの1回線分だけになります。設置場所がバラバラで台数が少なければLTE直結のほうが簡単ですが、1台ごとに月々のSIM代がかかります。電源と建物があるならWi-Fiがいちばん安く、部品代の追加も通信費もかかりません。

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この記事を書いた人:TIFFIN開発チーム

新潟県燕市・三条市の受託開発スタジオ。業務システム、Web・EC、スマホアプリ、電子回路・組込み、AIカメラまで、企画から納品後の運用までワンストップで開発しています。

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測りたいもの、置きたい場所、予算感の3つだけ教えてください。既製品で足りるかの確認から、構成の候補と概算までご提案します。

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