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IoT基板開発2026.08.27

オリジナル基板・IoT機器を1台から試作する費用と期間の考え方

屋外に設置するIoTセンサー機器の基板と防水筐体

「市販品を組み合わせれば何とかなると思ったが、電源が持たない、電波が届かない、屋外に置けない」。オリジナル基板やIoT機器のご相談は、たいていこの段階から始まります。TIFFINは新潟県燕市・三条市で、回路設計からプリント基板、筐体、ファームウェア、クラウドの見守り画面までを同じチームで設計し、田んぼの水位を見守る「みずばん」や果樹園を見張る「はたばん」を自社で実証開発しています。この記事では、1台の試作を依頼するときに費用と期間がどう決まるのかを、工程の順に沿って説明します。

この記事でわかること

目次
  1. 試作1台ができるまでの工程
  2. 費用を左右する要因:電源・通信・防水・認証・量産データ
  3. 費用の目安(当社の料金ページより)
  4. 期間の考え方:フィールド試験を省くと、後で払う
  5. 依頼前に整理しておく3つのこと

試作1台ができるまでの工程

オリジナル機器の開発は、おおまかに「要件の整理→構成の検討→回路設計→基板→筐体→ファームウェア→試作・評価」という順で進みます。ただし、それぞれが一直線に並ぶわけではなく、基板と筐体のように並行して決めなければならないものがあります。当社の進め方を工程ごとに見ていきます。

基板の外形や穴の位置は、筐体とケーブルの取り回しから先に決めます。コネクタ列を防水ボックスのケーブルグランド側に揃える、といった判断は、基板と筐体を別々の会社に頼むと後からすり合わせが必要になる部分です。同じチームで設計する理由はここにあります。

費用を左右する要因:電源・通信・防水・認証・量産データ

同じ「センサ1台」でも、次の要因で費用は大きく動きます。相談の段階で当社が必ず確認する順に説明します。

要因1:電源と通信の構成

IoT機器の設計は、センサ選びより先に「通信方式」でほぼ決まります。通信方式が決まると、電源、筐体、設置方法、月々の通信費が連鎖して決まるからです。費用に効く順に整理します。

通信方式と台数。電源と建物があるならWi-Fiがいちばん安く、部品代の追加も通信費もかかりません。設置場所がバラバラで台数が少ないならLTE(IoT向けのCAT-Mを含む)が簡単ですが、1台ごとに月々のSIM代がかかります。同じ地区に何台も並べるなら、センサ間を920MHz帯のLoRaでつなぎ、LTE回線を1台のゲートウェイに集約する構成が有利です。みずばんはこの構成で、通信費はゲートウェイの1回線分だけにしています。一方、はたばんは検知した画像を送る必要があり台数も少ないため、LTE直結を選びました。送るものが数値か画像か、台数は何台かで、正解は逆になります。

電池で動かすかどうか。コンセントが取れない場所で電池運用を狙う場合、待機電流を桁で削る設計が必要です。測定時だけセンサ電源を入れる、電池電圧監視の分圧回路もFETで切る、といった積み上げで待機電流を数十μA級まで詰めます。省電力は最後に足すものではなく、回路図の最初から入れておく項目です。後から「やはり電池で」となると設計のやり直しになり、費用と期間の両方に響きます。ソーラーパネルと二次電池で常時稼働させる場合は、筐体が大きくなり、支柱や取り付け金具も必要になります。

要因2:筐体・防水と電波法の認証

屋外に置くかどうか。「試作は動いたのに、現場に置いたら止まった」の原因はだいたい決まっています。防水等級を満たしていない、ケーブルの引き込みから水が入る、結露で誤動作する。屋外設置ではIP65相当の防水設計に加え、直射日光・結露・積雪・気温変化を想定した部品選定が必要で、屋内向けの試作とは工数が変わります。筐体と基板を別々に決めるとここで失敗しやすいため、当社は防水ボックス・基板・電池ホルダーを一体で設計し、3Dの分解図で合意形成してから進めます。

電波法の認証(技適)。無線を使う機器は、国内で使うために電波法の認証が必要です。当社は技適取得済みの無線モジュール(LoRaとマイコンの一体型など)を選定し、基板側はアンテナ端子へ50Ωで最短に引き出すだけにする設計を基本にしています。こうすると機器としての認証取得が不要になります。独自のRF回路を組むと、認証と量産の両方でコストが跳ね上がるため、必要な場合は認証にかかる期間と費用を事前にご説明したうえで判断していただきます。

要因3:量産に渡せるデータと、クラウド側まで作るか

量産データを整えるか。回路図しかない状態では、基板メーカーに製造を依頼できません。部品表(BOM)、実装座標(CPL)、製造用ガーバー、外形・穴・配置ガイド入りのKiCadプロジェクト一式がそろって、初めて量産の見積が取れます。当社は、基板メーカーへそのまま発注できる状態にすることを試作段階の完了条件にしており、設計データはお客様に納品します。1台で終わる案件でも、将来ほかの会社に量産を頼む道が残ります。

クラウド・見守り画面まで含めるか。装置が動いてデータが上がってきても、数字が羅列されるだけでは誰も見ません。受信API、時系列データの蓄積、しきい値による状態判定、異常時のLINEやメール通知、機器のオンライン状態や電池残量の監視画面。ここまで作って初めて「使える装置」になります。装置本体だけの依頼か、画面と通知まで含めた依頼かで、範囲と費用は大きく変わります。

費用の目安(当社の料金ページより)

当社の料金ページに掲載している、電子機器・基板開発の目安をそのまま引用します。要件によって上下しますので、出発点としてご覧ください。

範囲内容目安(税別・開発費)
試作1台の設計・製作回路設計、基板製作、筐体、ファームウェアを含む試作1式80万円〜
量産を見据えた設計一式試作に加え、BOM・CPLなど量産に渡せるデータの整備まで250万円〜
筐体・外装込みの製品化外装・機構を含めた製品としての仕上げまで500万円〜

基板製造費・部品費・金型費などは別途実費です。初回の相談と構成の検討、概算の提示までは無料でお受けしています。また、回路だけ、ファームウェアだけ、既存基板の改版、他社が作った装置のクラウド側だけを引き継ぐ、といった部分的なご依頼も可能です。全部を一社に頼まなければならないわけではありません。

期間の考え方:フィールド試験を省くと、後で払う

当社のサイトには、ハードウェア開発の期間を一律の数字で書いていません。理由は、期間を決める要素が案件ごとに違うからです。基板は起こしてから実測し、課題があれば改版する、というループがあり、改版の回数で期間が変わります。部品の入手性にも左右されます。そして屋外に置く機器では、フィールド試験を季節や天候をまたいで行う必要があります。夏に動いた装置が冬の結露や積雪で止まる、ということは机上では分かりません。

ここを省くと、量産後に必ず問題が出ます。試作の段階で払うか、量産してから払うかの違いで、後者のほうが高くつきます。ですから期間は「いつまでに現場に置きたいか」から逆算し、屋外設置なら試したい季節を先に決めて、その季節に試作機が現地にある状態を目標にする、という考え方をおすすめしています。まず1台作って現地で確かめてから量産を判断する進め方が、結果的にいちばん近道です。

依頼前に整理しておく3つのこと

相談の段階で教えていただきたいのは、「測りたいもの(見張りたいもの)」「置きたい場所」「予算感」の3つです。図面や仕様書はなくて構いません。この3つがあれば、実現方法の候補と概算をご提案できます。加えて、次の点が分かっていると構成の検討が早く進みます。

当社はまず、既製品の組み合わせで足りるかをご一緒に確認します。足りない場合だけ作ります。「こんな装置、作れませんか」という一言からご相談ください。

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この記事を書いた人:TIFFIN開発チーム

新潟県燕市・三条市の受託開発スタジオ。業務システム、Web・EC、スマホアプリ、電子回路・組込み、AIカメラまで、企画から納品後の運用までワンストップで開発しています。

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測りたいもの、置きたい場所、予算感の3つだけ教えてください。既製品で足りるかの確認から、構成の候補と概算までご提案します。

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