自治体向けクマ検知AIカメラシステム開発
新潟県内の自治体様に、画像認識AIでクマを検知し、担当課へ通知するシステム「AIVIS」を導入しました。新潟日報にも取り上げられた取り組みです。
課題
- クマの出没情報が住民からの通報頼みで、把握が後手に回っていた
- 職員が現地を見回る運用では、夜間や広範囲をカバーできない
- 目撃情報の記録が紙とメールに散らばり、傾向の分析ができない
実施したこと
- 4K解像度のカメラ映像から、物体検出モデルでクマを判別する仕組みを構築
- 検知するとその場で判定し、担当課へ通知。映像はエッジ側で処理して不要な送信を抑制
- 検知の履歴を記録し、時間帯・場所の傾向を後から確認できる形に
- 誤検知を人が確認して学習に反映できる運用フローを整備
成果
導入前の状況
クマの出没は住民からの通報で把握されるのが一般的ですが、通報があった時点ですでに人の生活圏に接近しているケースが少なくありません。職員が見回る運用では、夜間や広い範囲をカバーしきれず、目撃情報の記録も紙とメールに散らばっていたため、出没しやすい時間帯や場所の傾向をつかむことができませんでした。農作物への被害や人身被害への不安が高まる中で、「通報を待たずに把握する」仕組みが求められていました。
システム構成と技術
- 4K解像度のカメラ映像を、物体検出モデル(YOLO系)でリアルタイムに解析し、クマを判別します
- 解析は現地のエッジ端末で行い、映像をクラウドへ常時送信しません。検知したときだけ判定結果と必要な情報を送るため、通信コストを抑えつつ、映像をむやみに外へ出さない構成です
- 検知するとその場で判定し、担当課へ即時に通知します。同じ個体が繰り返し検知された場合にも自動で通知する機能を備えています
- 検知の履歴を記録し、時間帯・場所の傾向を後から確認できる形にしました
- 誤検知があった場合に人が確認し、その結果をモデルの学習に反映できる運用フローを整備しています
屋外に置くAIカメラでは、日中と夜間、雨や雪、逆光といった環境の変化に対して安定して動くことが求められます。当社では、カメラの選定・設置位置の検討から、エッジ端末での推論、通知の仕組みまでを一体で設計しています。この分野の考え方は画像認識・AIカメラ開発で、屋外設置の筐体や電源・通信についてはオリジナル基板・電子回路設計で紹介しています。
開発の進め方
まず、対象となる場所と時間帯を整理し、カメラの画角と設置位置を決めました。検知の対象はクマに絞り、人や車、犬などの動く物体とどう区別するかを設計の中心に置いています。一般的な物体検出モデルを出発点に、実際の設置環境で撮影した映像で検証しながら調整を進めました。
通知は「早く・確実に・見てもらえる」ことを優先しています。誤検知が多いと通知が無視されるようになるため、検知の確信度に応じた扱いを決め、人が確認した結果を学習に戻す流れを最初から組み込みました。
この取り組みは、2025年11月13日付の新潟日報で報じられ、地域の鳥獣害対策の一例として紹介されました(掲載のお知らせ)。
運用してわかったこと・今後
通報を待たずに出没を把握できるようになり、24時間365日の監視体制ができました。約95%の精度でクマを検知しています。検知履歴が蓄積されることで、出没しやすい時間帯や場所の傾向を後から確認でき、見回りや注意喚起の判断材料として使えるようになっています。
屋外のAIカメラは、モデルの精度と同じくらい「設置場所・電源・通信・筐体」が結果を左右します。当社は同じ考え方で、果樹園の見守りカメラ「はたばん」の実証開発も進めており、地域の課題に合わせた展開を検討しています。