三条市立大学との産学連携で取り組んでいること。AI・地域DXの現場レポート
TIFFIN株式会社は2026年3月31日、三条市立大学と「未来共創フォーラム」パートナーシップを締結しました。代表の加藤健資は同大学の客員准教授として研究・教育に携わっており、この協定は、その関係を企業と大学の組織同士の連携として正式な形にしたものです。この記事では、協定の内容、これまでに形になったもの、そしてAI・地域DXの分野で地域の企業とどうつながろうとしているのかを、現時点で公表している事実の範囲でまとめます。
この記事でわかること
- 「未来共創フォーラム」パートナーシップの内容と、3つの連携領域
- 代表が客員准教授として大学に関わっていることの意味
- 実際に納入した産学連携タッチパネルの中身と、そこで見えた課題
- 地域の企業が産学連携に関わる入口
三条市立大学と「未来共創フォーラム」パートナーシップを締結
三条市立大学は、2021年に開学した公立大学です。金属加工で知られる三条のものづくりの現場に近い場所で工学教育を行っており、地域産業と結びついた教育・研究を進めています。TIFFINは2026年3月31日、この三条市立大学と「未来共創フォーラム」パートナーシップを締結しました。締結式では、当社代表取締役の加藤健資と、三条市立大学のアハメド・シャハリアル理事長が協定書を交わしています。
連携の領域は「AI」「ものづくり」「地域DX」の3つです。大学の研究テーマと、地域の企業が実際に抱えている課題をすり合わせ、研究で終わらせずに実装まで持っていくことを目的としています。当社の沿革では2026年3月の出来事として記録しており、プレスリリースとしては2026年8月19日に公開しました。
客員准教授として大学に関わる立場から
当社代表の加藤は、2024年に三条市立大学の客員准教授に就任し、知財とAIプロダクトの研究・教育に携わってきました。今回の協定は、この個人としての関わりを、企業と大学の組織同士の連携に広げたものです。
日々AIシステムやオリジナル電子機器の開発に取り組む実務家が、同時に大学という研究・教育の場に身を置いていることには、はっきりした意味があります。AIの分野は変化が速く、半年前の常識がすぐに置き換わります。大学に身を置くことで最新の研究動向に触れ続けられる一方、開発会社として現場の課題に向き合う立場でもあるため、「その技術が実際の業務でどう使えるのか」「どこに導入の壁があるのか」という現実的な視点も併せ持てます。研究の言葉と現場の言葉のあいだで通訳のような役割を担うことが、産学連携を絵に描いた餅で終わらせないための鍵だと考えています。
加藤はキャンピングカーの企画・製造・販売を行う有限会社加藤モーターの代表も兼務しており、ものづくりの現場で培った設計の感覚をTIFFINの開発に持ち込んでいます。また、AI・製造業DX・セキュリティ・デザインの分野で40件超の有効特許を保有し、特許ライセンスの提供も行っています。研究・実装・知財をひとつの会社で扱えることが、大学との連携で当社が持ち寄れるものです。
形になったもの1:連携企業144社を5タップで探せるタッチパネル
協定に先立って、大学の産学連携展示向けに開発・納入したのが、連携企業144社を紹介するタッチパネルシステムです。当社の沿革では2026年6月の納入として記録しています。
もともとの課題は、オープンキャンパスで144社もの連携企業を紹介しきれないこと、紙のパンフレットでは来場者が目当ての企業にたどり着けないこと、そして展示会ごとの内容更新に手間がかかることでした。開発したシステムでは、業種・地域・キーワードから5タップ以内で目的の企業に到達できる検索の流れを設計し、CSVから企業データを一括更新できる仕組みで、展示内容の差し替えを数分に短縮しています。大型タッチパネルでの操作を前提に、文字サイズとタップ領域も調整しました。
来場者が自分の興味に合わせて企業を探せるようになり、展示ブースの滞在時間が向上しました。学園祭や説明会でも活用されています。この案件で見えたのは、産学連携そのものの中身と同じくらい、「地域の企業と大学がどうつながっているかを見せる方法」が課題になっていた、ということです。大学が持つ144社という連携の広がりを、来場者一人ひとりの関心に合わせて取り出せるようにする。小さな展示システムですが、地域DXの入口として象徴的な仕事になりました。
形になったもの2:現場に置くAIの例、クマ検知システム
ここで紹介するのは、大学との共同研究ではなく、当社がAIVIS様と取り組んでいるAI画像解析によるクマ検知・通知システムです。協定で掲げる「AI」と「地域DX」の領域で、当社が「現場に置けるAI」として実際に何を作っているかの例として挙げます。この取り組みは2025年11月13日付の新潟日報に掲載されました。
クマの出没は住民からの通報で把握されるのが一般的ですが、通報があった時点ですでに接近しているケースが少なくありません。職員が見回る運用では、夜間や広い範囲をカバーしきれないという課題もありました。開発したシステムは、4K解像度のカメラ映像から物体検出モデルでクマを判別し、検知するとその場で判定して担当課へ通知します。映像は現地側で処理し、必要な情報だけを送る構成です。検知の履歴が蓄積されることで、出没しやすい時間帯や場所の傾向を後から確認でき、鳥獣害対策の判断材料としての活用を想定しています。
研究室で動くモデルを、屋外のカメラと通信と通知の仕組みに載せて、自治体の担当者が使える形にする。この「実装の最後の一区間」を担うのが、産学連携の中で当社が引き受けたい役割です。
AI・ものづくり・地域DXで目指していること
AIをものづくりの現場に根付かせるには、「人材」「研究」「実装」の3つの接点が欠かせないと考えています。AIを使いこなし現場を理解した人を育てるのは大学の役割で、地域企業はその受け皿になります。最新の手法を追い、地域の課題に当てはめて検証するのも大学が担えます。そして研究の成果を実際に動くシステムとして現場に届けるのは、開発を手がける企業の領域です。この3つがバラバラでは力になりません。
新潟県内の中堅・中小企業からは、AIやシステムを導入する際に「何から始めるべきかの判断が難しい」という声を多くいただきます。当社が産学連携の枠組みで目指しているのは、大がかりな研究計画を作ることではなく、実際に動くものを作りながら得た知見を地域へ還元することです。小さく作り、早く試し、現場で育てる。これは当社が開発全般で大切にしている進め方であり、産学連携でも変わりません。なお当社は、公益財団法人にいがた産業創造機構(NICO)のDXパートナーとしても、県内企業のデジタル化に関わっています。
地域の企業が産学連携に関わるには
「産学連携」と聞くと、大規模な共同研究や、専門部署を持つ大企業の話というイメージを持たれるかもしれません。しかし出発点はもっと身近で構いません。「自社のこの作業をなんとかしたい」「AIで何かできないか」という素朴な問いから始まります。大切なのは、その問いを受け止め、研究と実装の両方の視点で一緒に考えてくれる相手を見つけることです。
当社は、大学での研究・教育に関わる立場と、地域の現場でシステムや電子機器を作る立場の両方から、ご相談に乗ることができます。まずは小さな相談から始め、必要に応じて大学の知見につなぐ。そうした形で、三条市立大学との連携を地域の企業に開いていきたいと考えています。取り組みの進展は、今後もニュースと技術ブログでお伝えしていきます。
「AIで何かできないか」という段階からで構いません。研究と実装の両方の視点で、何から始めるべきかを一緒に整理します。
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